名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1872号 判決
被告人が原判決の所論第一事実判示の自転車横領の犯行当時その被害者久富はつゑの娘幸子といまだ内縁関係にあつたことはその挙示の証拠によつて窺われないではないが、これによつて刑法第二百五十五条により準用される同法第二百四十四条のいう親族の関係にあるものとなし得ないことは言を要しないところであり、しかも被告人の司法警察員に対する供述調書の記載に徴しても被告人の前科処刑による出獄後幸子の父の反対により前記内縁関係に破綻を来たし右本件犯行当時はもはや久富方から疎ぜられて時折同家に立寄る程度に過ぎなかつたものであることを看取するに足りるものであり、右犯行につき親族相盜例の準用を受くべきものとなす所論は全く当らない、原判決には毫も所論の如き違法、不当の点はなく、論旨は理由がない。